京丹波 松穂農園日記

京丹波 松穂農園での栽培記録を中心としたブログです。それぞれの作物をどのように栽培しているかを発信しています。

カテゴリ:農業よもやま > ブドウ園造成

なかなか晴れないですねー。
この冬に関しての話ですが、一般の果樹農家さんと私の大きな違い。
それは苗を植え付ける果樹園の造成からやらなければならないことです。
京丹波町のような冬の寒さが厳しいところでは、苗の植え付けは2月末から3月上旬がベストになります。
それまでに造成作業を終わらせ、畝や植穴をつくる作業を終わらせる必要があります。
ブドウ園の予定地は土壌の調整(有機物投入、肥料成分補充、PH調整)以前に、土中に残された木の根を可能な限り取り除かなければなりません。
(根に病原菌が付着している可能性が高いのです。)
これまでの作業で重機によって大きな根は取り除いていますが、まだまだ小さなものが残っているはずです。
作業としてはトラクタで耕耘し、根を掘り起こしていきます。
通常の畑の耕耘では土が湿っているときは土が練ってしまうので作業しません。
ただ今回のような目的ではある程度の湿りは許容できます。
しかし雪が残っているような今の状況だとさすがに・・・。

そんななか不動産業者に家の引き渡し時期について確認したところ、半月ほど遅れそうとの回答。
「話が違う!絶対無理!農作業のピークと引っ越しが重なるのはあり得ない!」とクレームし、そこは回避できました。
キッツイことも言いましたが、仕方ありません。

天気予報では気温の低い日が続きそうです。
でも日曜くらいから晴れマークが続いています。
気温が低くても直射日光が当たると全然違います。
今日の雨で融雪もすすみました。
もうチョイ?
天気予報は信じませんが期待はすることにして、それまでは農地での作業以外のことを前倒してやっていきます。

ということで今日は引越しに備えて荷物の整理等を行いました。
ほんまに晴れてほしい・・・。

ブドウを植え付けるのは来年の2月末から3月の上旬頃の予定です。
このまま植えるのではなく、その前の準備作業をこれから徐々に行っていきます。
土壌改良、PH調整、植穴つくり・・・。
やり方はいろいろありますが、そろそろ決めていかなければいけません。
この準備作業はとても大切なことでなんです。
日照や水はけ等すべてが理想の土地だといいのですが、そんな場所はなかなかなく、今の圃場をそこに近づける作業になります。
野菜だと今年の結果を踏まえて来年改善・・・と出来ます。
しかし果樹は一度植えると何年もそのままですから 後からやり直せないことが多い。
「最初が肝心」なのです。
そこで今日は南丹農業改良普及センターの寺岸副所長(農学博士)に実際に圃場を見ていただき、相談させていただきました。
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寺岸さんはイチジクを中心とした果樹の専門家でブドウの栽培にも精通されています。
排水の改良をはじめ様々な視点から貴重なアドバイスをいただきました。
可能な限り実現していきたいと思います。

昨日到着した苗を実際に植え付ける春までの間、乾いたり凍ったりしないよう養生をしました。
果樹の苗木は一般にこの時期に掘り起こされ、植え付けられます。
しかし京丹波町のように冬の寒さが厳しい地方では春植えにします。
「じゃあ春に買えばいいんじゃないの?」と言いたいところですが、素掘りの苗木は良いものから順に出荷されるため ”この時期に苗を買っておいて春まで養生・・・”となるのです。
今日のところは素掘りの苗であるブドウ、モモ、サクランボを養生します。
こんな感じで送られてきました。
ブドウ苗
今回は岡山の山陽農園さんから購入しました。
農業生産法人時代に別の業者さんから購入したことがあるのですが、今回の苗のほうがはるかに良い感じです。
さすがは西の果樹王国”岡山”の老舗の苗木屋さんです。
また養生の仕方についてもいろいろアドバイスをいただきました。

クインニーナです。
クインニーナ
まだ一般にあまり出回っていないと思いますが、将来を嘱望されている赤系統の品種です。
緑のラベルは正規ルートで購入した証。

保湿しながらも加湿にならないよう、また根が凍ってしまうことがないよう畝に埋めます。
ブドウ苗養生

モモとサクランボは苗が非常に長かったこともあり、立てて養生することにしました。
養生完了
これで素掘りの苗木は作業がほぼ完了しました。
あとは念のために畝に保温資材(寒冷紗)を敷く予定です。

別の用が出来てしまい、今日はこれまで。
奥のシートをかけているポット苗であるイチジクは明後日に作業する予定です。

ここまで天候や気温の変化と作業がとてもうまく噛み合っています。

今日は果樹の苗床の獣害対策の続きから。
まずは防風ネットの設置を終わらせてブロッコリ畑へ。
そこに設置していた鹿対策のネットと支柱を撤去して、造成地に搬入。

並行して西野社長が果樹園造成のために通路がぬかるまないように砕石をひいて下さっています。
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そして苗床の獣害対策の設置も完了しました。
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白の鹿よけネットの外周を青の防風ネットで囲みます。
青の防風ネットは小さなヌートリアやアライグマの侵入を防止するのとともに、角がないメスの鹿がネットの下をくぐらなくするようにするためです。
(青の防風ネットの裾は垂らしてあるのわかりますか?)

そしていよいよ・・・。
果樹の苗が到着しました!
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イチジク162株
ブドウ70株
桃10株
サクランボ30株

いよいよです。
緊張感は高まるばかり・・・です。

今日は整地の最終段階です。
これまで燃やしまくった焼却用の穴を埋めなければなりません。
朝一から少し残った焼き残りに火を付け、朝の9時までにほぼ燃やし切りました。
そのあと、ブロッコリ畑で使用していた暴風、獣害対策の資材を果樹園造成地に移動するために撤去します。
収穫終了後のブロッコリ畑。
白いネットが鹿対策用で、青いネットは台風に備えて設置した暴風ネットです。
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まずは暴風ネットを撤去して、果樹園造成地に戻ります。
午前中は西野社長による整地作業の手元作業。
午後は明日納品予定の果樹苗の受入準備です。
京丹波町は冬の冷え込みが厳しいため、植え付けは厳冬期が過ぎた来春の予定。
それまで保湿しながら保管するために苗床となる畝を立てました。
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畝立ての作業中にも土の中からは根が出てきますが、これまで丁寧に取り除いていただいたので量はすごく少ないです。
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このあと苗床が獣に荒らされないよう暴風ネットから設置を行いました。

今日ですが、12時過ぎに西野社長から「昼しいや!」と声が掛かり私は自宅に戻り昼休憩の後、造成地に戻りました。
するとユンボが動き続けています。
夕方あたりが真っ暗になるまで、ずっと作業が続きます。
たまにエンジン音が小さくなったと思うと、何やらTELがかかったようで、あとはずっと動きっぱなし。
結局 昼休みもなくずっと作業をしていただきました。
「手がしびれた。」と言われていました。
そのおかげで造成地の整地作業はほぼ完了です。

この果樹園を成功させる。
最高のブドウを作る。
私の退路は断たれてしまった一日でした。

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